防犯カメラの画質について:画素数・フレームレート・ビットレートの3つを理解する

ここでは、ネットワークカメラの画質の決め手となる3つの設定(画素数・フレームレート・ビットレート)についてわかりやすく説明していきます。

1. はじめに

動画は複数の静止画をパラパラ漫画のように素早く切り替えて表示させることで動きを演出しています。

動画の仕組みのイメージ

つまり、「静止画1枚1枚の画のキレイさ」と、「静止画を切り替えるスピード」の2つが動画の品質に影響します。

静止画がキレイかつ切り替えるスピードが速いほど高品質な動画になりますが、その分データ量も大きくなります。

画質とデータ量のイメージ

防犯カメラで撮影した映像は目的に応じてモニタに映し出したり、レコーダに録画したりしますが、その際に使用する「伝送経路」と「録画容量」には限りがあるため、その2つの条件に合わせてデータ量を制御する必要があります。

伝送経路と録画容量のイメージ

このように、動画の品質は「画像のキレイさ・画像を切り替えるスピード・データ量の制御」の3つによって決定されます。

これらを制御するのに必要な設定が「解像度・フレームレート・ビットレート」です。

2. 画素数とは:画像のキレイさを決める

デジタル画像は画素=ピクセル(pixel、px)と呼ばれる小さな四角形の集合で構成されています。

ピクセルのイメージ

画素数とは画像を構成している画素の数を表したもので、「○○画素」と表記したり、「横×縦」で表記したりします。

例えば下記の画像は横6px、縦6px、合計36pxで構成されているので画素数は36画素、または6×6と表記できます。

画素数について

画素数が多いほどくっきりしてキレイな画像に、画素数が少ないとぼやっとして汚い画像になります。

画素数の比較

防犯カメラの画素数は映像規格やモニタの規格に合わせて定められているケースが多く、また画素数はそのカメラの所有する性能の最大値(=有効画素数)以下のものに変更することが可能です。

下記は代表的な規格の一覧です。それぞれ「ハイビジョン」や「4K」といった通称で呼ばれることがあります。

画素数比較1
画素数比較表

2021年現在、防犯カメラの画素数は1920×1080=約200万画素(通称:FHD、Full-HD、1080P、フルハイビジョン)で撮影できるものが一般的です。

3. フレームレートとは:動画のなめらかさを決める

前述の通り、動画は複数の静止画をパラパラ漫画のように素早く切り替えて表示することで動きを演出しています。

フレームレートのイメージ

フレームレートとは1秒間に表示する静止画の数(コマ数)を示したもので、fps(=frames per second)という単位で表します。

例えば、1秒間に5コマ表示する動画のフレームレートは5fpsと表記できます。

5フレームのイメージ

フレームレートが高いほど滑らかな動きに、低いほどカクカクした動きになります。

フレームレートと滑らかさ

2021年現在、防犯カメラは最大30fpsのフレームレートで撮影できるものが一般的です。
地上デジタル放送が約30fpsなのでテレビと同等レベルの滑らかさで撮影できます。

4. ビットレートとは:動画のデータ量を制御する

画素数が大きくてフレームレートが高いほど高品質な動画が撮影できますが、その分データ量も大きくなります。

データ量比較1

また、画素数とフレームレートが同じ動画でも撮影対象の色彩や動きによってデータ量が異なります。

データ量比較2

防犯カメラで撮影した動画は目的に応じてモニタに映し出したり、レコーダに録画したりしますが、その際に使用する伝送経路と録画容量にはそれぞれ限りがあります。

伝送経路と録画容量の上限

その制限を超えてデータを送ろうとすると送ることができなかったり、データ量が大きい動画をレコーダに送り続けるとすぐ容量がいっぱいになってしまったりします。

そこで、送信するデータ量を制御するのがビットレートの設定です。

ビットレートとは1秒間に送信できることができるデータ量を示したもので、bps(=bit per second)という単位で表します。

ビットレートを固定にしたり、上限を設定したりすることで、データ量がまちまちな動画をある程度均して送ることが可能になります。

例えば、最大ビットレートを512kbpsに設定した場合、下記の図のように512kbを超えた分のデータは圧縮されて送られます。

ビットレート制御のイメージ

ここで、圧縮された部分は画質が犠牲となり、元の映像品質より劣化して送られることになります。圧縮しなければならないデータ量が大きくなるほど映像にノイズが発生します。

つまり、設定したビットレートに相応しい画素数とフレームレートを選択しないと、ノイズによって不用意に画質が悪くなることがあります。

よくあるケースとして、画素数とフレームレートを上げたにも関わらず、対するビットレートが低いために余計に画質が悪くなってしまう、といった事態に陥ることがあります。

希望する画素数とフレームレートに最適なビットレートは、圧縮方式やカメラのスペック等により異なるため、使用するカメラメーカーのwebサイト等で確認して設定してください。

5. まとめ

・防犯カメラの画質は「画素数・フレームレート・ビットレート」の3つで決まる

・画素数は画像のキレイさ、フレームレートは動画の滑らかさ、ビットレートは動画のデータ量をそれぞれ決める